霜降り信仰=脂身信仰


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Photo credit: Another Pint Please... / Foter.com / CC BY-NC-SA

ホテルチェーンによる食品偽装事件により、日本人の霜降り信仰=脂身信仰が改めて明らかとなった。

脂を注入した加工肉を「ステーキ」と表示し偽装、高額な値段で客からぼったくりを続けていたホテルチェーンを発端に、さまざまな企業が同じような偽装を繰り返し利益を得ていたということが判明した。この件で、誤表示という嘘は通用しないし、明らかな偽装事件なので刑事告発されるべきだろう。

さて、この一連の偽装事件は、日本人の霜降り信仰=脂身信仰を改めて露呈させた。

確かにサシが入っている牛肉は美味しそうに見える。でも一本調子であることは否めない。いつからかとろけるような肉が好まれ、脂注入牛肉がまかり通るようになってしまった。ステーキがいつでもどこでも気軽に食べられるようになった結果、本物の味を知らない人が増えたことが原因とも言える。脂注入しておけばとろけるだろ、という加工業者の高笑いが聞こえるようだ。

たとえば、オーストラリアでは脂身信仰はそれほどない。牛肉と言えばテンダーロイン、リブ、ランプなど、基本的には赤身であった。で、そういう赤身は硬い。そこで、肉叩きがどこの家庭でも常備されている。硬い肉を調理の際に叩いて軟らかくして食べるのが一般的なのだ。そんな赤身が美味しくないかと言うと、美味い。赤身の美味さをほとんどの日本人が知らないのかもしれない、と今回の牛肉偽装問題から思ってしまう。日本人は米や麺などブランドによって微妙に味の異なる食料を食べているのだから、赤身の旨さがわからないわけがないのだが・・・。

もちろんTボーンのようなそのまま焼いて食べられる薄い肉も人気だ。ただ日本のように、サシが目立つように入っている牛肉はほとんど見かけない。赤身シェアが高いからこそ、日本にやってくるハリウッド俳優たちが神戸牛にやられてしまうのは理解できるのだが、日本人のように盲信してしまうと、今回の偽装事件のような結果となる。

僕は個人的にステーキなどはデパートで買う。スーパーなどでステーキと表示されているものの多くは、たいていまずいからほとんど買うことはない。脂が注入されているかどうかはともかくとして。

とまれ、「おまえら、味なんてわからねえだろ。」というホテル調理人たちに騙されないためにも、きちんとした牛肉を日頃から食べておくのは大事だ。