『龍三と七人の子分たち』は「ビートたけし第二回監督作品」である。


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このタイトルで何を言いたいのか大体わかる人は、ビートたけし通、北野武通を堂々と宣言してください。

 

さて、「ビートたけし第一回監督作品」と言えば、『シベリア超特急』、『北京原人』とともに日本三大”泥酔して観たら大爆笑必須”映画と認定されている、『みんな~やってるか!』ですね。

 

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『みんな~やってるか!』は、たけし本人が「おれ、あれ好きなんだよな。酔っ払って見ると最高じゃない。」なんてことを言っております。確かにくだらなさの破壊力は最高です。人にオススメはできないけど、くだらなくて面白いのでたまに観たくなっちゃう変な映画なんです。

 

あれで大失敗してるから今回リベンジしたかった、というような監督の発言をどっかで読んだか聞きましたけど、そうなるとやっぱり、このエントリのタイトルが相応しいんですよね。

 

『龍三と七人の子分たち』は「ビートたけし第二回監督作品」である。

 

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『龍三と七人の子分たち』は、ビートたけしファン、北野武ファンなら既知、既視、既聞のネタをベースにした作品であることがわかるでしょう。

 

最近は、司会者、映画監督としてのビートたけしは知っていても、漫才、コント、ANNをやっていたお笑い芸人ビートたけしの全盛期を知らない若い子も増えています。この『龍三と七人の子分たち』は、そうしたお笑い芸人・ビートたけし検定初級の人たちを対象とした作品と言えます。まあ間口を広げた、ということでしょうね。作品中の小ネタ・コントも、お笑い芸人・ビートたけしを知らない人からみたら新鮮だし、爆笑必至なのも理解できます。

 

また、R指定解除にこだわったのも、これまでとは違う客層に映画を観てもらいたい、という監督やオフィス北野の思いが込められているからでしょう。おれの映画はR指定ばっかりなんだけど今回ようやく外されたので嬉しい、と監督本人も口にしているくらいですし。

 

老若男女、幅広い世代を対象とした効果が出た、かどうかはわかりませんが、公開二日間の興収を見てもわかるように『龍三と七人の子分たち』はヒットしています。平日もジジイとババアの高齢者が劇場に詰めかけているようで、デイリーランキングでは瞬間風速的にシンデレラを上回る販売数となったりして、接戦を繰り広げているような状態です。

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この販売数の推移を見れば、今回もヒットさせる、という監督とオフィス北野の作戦はひとまず成功したと言えるでしょう。プロデューサーである森社長は20億を期待しているようですが、G.W.の結果次第では不可能な数字ではないかもしれません。まあ映画.COMなどは10億と踏んでいるようですが・・・。

ここがヘンだよ『龍三と七人の子分たち』

気になったシーンを二点ばかり。

 

企業恐喝で稼いだお金を競馬ですってしまったのに、次のシーンではキャバクラでプチ豪遊してるんですよね。やっぱり負けてしまったんだからそこは場末の立ち飲み屋とかでいいじゃん。っていうか、萬田久子のシーンいる?まあ龍三親分が女装してオカマの立ちんぼみたいになってオカマに絡まれるシーンへのつながりが欲しかったんだろうけど、あれはちょっと違うなー、と。それに、西は熟女好きなのかもしれないけど、萬田久子はねーだろ、と。まあこれは監督自身の実話として有名な話なのでそれを藤さんにやらせたら面白い、ってことだったんでしょう。実際、情けなくて面白かったけど、ちょっと流れが強引だった気がします。一龍会を立ち上げた祝いで豪遊し泥酔して女についていったら酷い目にあっちゃった、という設定の方が良かったな、と。

 

次はバスのカーチェイス。まあバスが追っかけるシーンは確かに迫力あったんだけど、ベンツが逃げ切れない理由がさっぱりわからない。さすがにバスがベンツに追いつけるわけねえだろ、と。うまく理由付けをするなら、渋滞で前が詰まっちゃって追ってくるバスから逃げようと脇道にそれたらそこで小さな祭りがやっててさらにその道は倉庫街への一本道だった、というならまだ理解できるかも。でもベンツは結構自由に走ってるんだよね。逃げてるんだから信号無視だってしてるはずだし、本気で逃げてる感がしない。ビートたけしだったら、相当先に逃げたベンツに追いつけるわけねーだろバカヤロー、と言ってるはずなんだよね。あと、スタントマンが出店をバスで壊していくんだけどちょっと遠慮がちに見えた。もっと蹂躙しちゃっていいじゃん、と。ハリウッド映画だとカーチェイスのシーンが長すぎるんだけど龍三のはちょっと短すぎたね。

 

 『龍三と七人の子分たち』を劇場で観るのは、次回作への投資です。

『龍三と七人の子分たち』がお笑い芸人・ビートたけし初級作品なら、じゃあディープな北野武ファンはどうしたらいいのか?

 

この作品はそういうものだと納得させて次回作に期待しましょう。すでに『アウトレイジ3』の脚本も完成しているということですし、また別の新作も用意しているらしいので、あと数年生き延びて北野武監督作品を待つのです。『龍三と七人の子分たち』がヒットすれば、三作連続でのヒットですから、「おいら」たちの北野武が帰ってくるかもしれません。そう、『龍三と七人の子分たち』を劇場で観ることは、次回作への投資なんです。

 

あと、ところどころでビートたけし監督じゃなく、北野武監督が出てくるので、劇場で見ておいた方がいいです。例えば、昔世話になった大親分のところへ挨拶しにいく龍三一家のジジイたちが居並ぶ姿は全員かっこよくて圧巻です。

最後に

『龍三と七人の子分たち』は大きな箱で大勢のお客さんと笑いながら観るのがオススメです。

 

主役の龍三親分を演じた藤竜也さんも「人生を深く語る難しい映画ではございません!笑いのスイッチをいれて楽しんで下さい!」とおっしゃってるように、老若男女、気軽に劇場に足を運んで観て欲しい作品です。

 

ryuzo7.jp

ビートたけし北野武ファンは、あああのネタをこうやって映像化するのか、という答え合わせを楽しんで観るといいと思います。

 

ということで、カット、カット!

 

蛇足:平日の人が少ない場所、時間を狙って観てきました。でも、まあまあ入ってました。客層はジジイとババアが多かったです。

 

PR記事ばかり読んでいたせいで、絶賛とかどっかんどっかん受けていた、とか言うのを真に受けてしまってハードル上げすぎました。いや面白かったし、111分という時間の長さも感じなかったんだけど、どっかんどっかんというより、思わず笑ってしまうシーンがどんどん流れていく、という感じでした。個人的には、品川徹演じる早撃ちのマック、が一番おかしかったです。銭湯前で京浜連合と揉めていきなり撃っちゃうとかね。あと居酒屋のシーンでは右手がずっと震えてたりして、あれじゃあ間違って撃っちゃうよな、って。あと京浜連合に「おひけえなすって」をやるんだけど、あのテンポはさすが漫才師だった。あっ、やっぱりビートたけし監督作品じゃん。

 

 

※以下数行はラストネタバレ含むので反転で。

 

文化庁が金出しててR指定もないんだけど、死体をこれでもか、というくらいに粗末に扱ってて、死者に尊厳なんてねーよ、という不謹慎な感じで笑えました。これで文化庁が金出すとか、いままでのR指定は何だ?嫌がらせだったのか、と思いますね。ただR指定ないので、バイオレンスもエロスもないし、北野武ファンには物足りなく感じます。痛さが足りない北野バイオレンス作品って初めてなので、かなりとまどいました。早撃ちマックが乱射するんだけど、それが一発も当たらず、死体の後頭部を撃ち抜いちゃうだけなんて完全にビートたけしのネタだもん。ちなみにこのネタは『座頭市』の冒頭でもやってましたね。刀を抜いた奴が前にいた奴の腕を斬っちゃうっての。あと、辰巳豚郎ね。あっ、琢郎だった。あのネタもたけしのコントではよく見たやつ。あそこは会長が存命で、徳○会会長のような会長が出てくる、って別のネタの方が面白かったと思う。豚郎、なんで出てきたん?って感じだったし。ああでも豚郎が安倍総理のように話してて、少し風刺が効いてるのかな、とかも思った。安倍総理がやってるのは霊感商法だよ、ってメッセージなのかと。ああそれと、はばかりのモキチが孫をさらえと命令した京浜連合に一人乗り込んでいくんだけど、あれもちょっと違うよね。西がオフィスで金属バットで殺すんだけど、やっぱりどっか連れ去って殺して死体を団地に投げ捨てていく方が良かったと思う。アウトレイジで事務所の前に死体を転がされる、というのをやっちゃったからできなかったのかもしれなけど。だってさ、オフィスで殺したら汚れるじゃん。血が吹き飛ぶし。ルミノール液まかれたら終わりでしょ?あれだけしたたかに警察の目をすり抜けてる西が、あんな証拠残すようなことするかね、という疑問。まあモキチはドス持って乗り込んできたんだから、反撃した、と言えなくもない。そうなるとせいぜい過剰防衛程度なので、手下に出頭させる、という昔ながらのヤクザの手が使えるから、そうした方が良かったと思う。でも、ここで上げてる改善作だとR指定くらっちゃうし、アウトレイジになっちゃうんだよね。老若男女楽しめる、ジジイが孫と一緒に観に行ける、という狙いでマイルドにして、いろいろ計算した結果だと思うのでそういう意味では納得します。

 

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