町長選挙 - 吉祥天主の城

オーナー」はナベツネ、「アンポンマン」はほりえもん、そして「カリスマ稼業」は黒木瞳を主人公にして伊良部とのやり取りが行われる。注意したいのは奥田英郎が一切キャラクター作りをしていないこと。実在する有名人を主役に据えること自体、小説家としてとても恥ずかしいことだと思う。

「イン・ザ・プール」、「空中ブランコ」が売れ三匹目のどじょうを狙って出版社が無理矢理書かせたとしか思えない本作は伊良部ワールドを完璧に崩壊させてしまっている。

表題作「町長選挙」ですら前二作と比べたらおもしろみも読み応えも半減していて、奥田英郎もここまで墜ちたか、とがっかりしながら読み終えた。

前二作は爆笑するくらい面白かったのに、今回はくすりともせず。伊良部先生、さようなら。